対話主事通信「いろとりどり」２０２３．７月号

たまたま見ていたテレビ番組で「儲かる！日本のガラパゴス商品」が紹介されていました。「ガラパゴス」という言葉から、ガラパゴス諸島・ダーウィン・種の起源…さらに、エジプト文明・マヤ文明・インカ帝国・マチュピチュ・イースター島・モアイ像・超大陸ゴンドワナ…など、中高生のころワクワクさせられた魅惑のフレーズとまだ見ぬ世界へのあこがれが懐かしくよみがえってきました。今回は、そんな「ガラパゴス」に関連したいくつかの話題。

• 「ガラパゴス」とは？

「ガラパゴス」という言葉は、南米のガラパゴス諸島に由来します。ガラパゴス諸島は、南米大陸から1000㎞も離れたところにある火山と溶岩の島々。この絶海の孤島にたまたまたどり着いたゾウガメやイグアナなどがここで独自に進化したのです。1836年にこの島にやってきたダーウィンは、5年にわたる航海と調査をもとに「種の起源」を著しました。この中で「地球上には様々な生物・種が存在しており、それは絶えず生存を続け、進化し続けるものだけが生き延びる」という「進化論」を唱えました。「ダーウィンが来た！」というテレビ番組もありますね。

• 「ガラパゴス化」とは？

「ガラケー」という言葉を以前よく耳にしました。この「ガラ」は「ガラパゴス化」の略で、日本独自に発達した技術やサービスのことを指します。ガラパゴス化が起こる原因は、日本で暮らす人々のニーズが他国と相違していることや規格がそもそも違うことにあります。日本の企業は日本で売れることを最優先して商品を開発するため、結果として欧米人の好む商品とはかけ離れた商品になっていきます。高い技術を駆使して日本人のニーズに特化した商品を開発し続けるので、高性能な商品が生まれることもありますが、海外では売れない商品になりがちであるというデメリットも生まれます。

• 代表的な「ガラパゴス商品」

・ガラパゴス携帯いわゆる「ガラケー」

海外と通信規格の違う 日本の携帯電話は「ガラケー」と呼ばれ、「絵文字」や「ワンセグ」など独自の機能を進化させましたが、近年はiPhoneなど海外のスマホが続々と入ってきています。

・電子マネー　

近年ではQRコード決済を中心にガラパゴス化した電子マネーが乱立しています。〇〇Payなどがそうです。Suicaなども流通していますが、これは日本国内でしか使用できません。

・軽自動車　

日本の自動車メーカーは、税金が安い軽自動車を売るために、燃費や安全性など様々な開発を行ってきました。今では国内自動車販売の割合の40％を軽自動車が占めています。買い物や送り迎えに便利な生活の足として大活躍です。しかし、「衝突時の安全性が基準をクリアできない、小さすぎる」などの理由で、軽自動車は海外にはほとんど輸出されていません。

・ママチャリ

今から７０年ほど前、自動車やオートバイが普及してきて自転車の売れ行きが頭打ちだったころ、自転車業界が目をつけたのが女性用の自転車でした。当時の自転車は三角自転車と言われ、サドルとハンドルの間にパイプがある形状だったため、特に女性にとっては大変乗りにくいものでした。そこで、パイプをなくしたママチャリを開発しました。ママチャリは、子どもの送り迎えや買い物など便利な日常使いの乗り物としてヒットしました。

最近では、子どもを前と後ろに乗せられる子供用座席をセットするなどママチャリはさらに進化をしています。そして、ついに、ママチャリはアフリカやロンドンでも売れ始め、日本の「ガラパゴス商品」の域を脱しつつあるとか…。

あるテレビ番組をきっかけに、「ガラパゴス」「ガラパゴス化」「ガラパゴス商品」とみてきました。「ああ、そうだったんだ」とか「それは知らなかったな」と思うことがいろいろあって、けっこう楽しめました。ふだん何気なく見たり使ったりしている身近な生活の中の「もの」や「こと」から、世界の歴史や世の中の動きや日本の在り様まで、いろいろ知ったり考えたりできるものですね。

全家研ポピー浜松支部　教育対話主事　鈴木育代