対話主事通信「いろとりどり」2021.12月号
「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」という言葉がありますが、日暮れが日に日に早くなっています。1年の中で最も日の入り時間が早くなるのは11月のようです。そして、12月には、昼が1年で一番短くて夜が一番長い日「冬至」があります。今年は12月22日です。冬至の日には、みなさんは何をしますか? 私はゆず湯に入ったりかぼちゃを食べたりします。
さて、このかぼちゃですが、地方によっては他のものも食べるようです。にんじん、だいこん、ぎんなん、れんこん、きんかん、みかん、うどん…これらの食べ物の名前を聞いて、何か気がついたことはありませんか? そうです。どれも「ん」で終わっています。実はこれには意味があります。何でしょう?「家族みんなが健康で幸せに、『運』がよくなりますように」という願いを込めているんだそうです。おもしろいですね。
あれ? でも、かぼちゃは「ん」で終わっていませんね。どういうこと? 実は、かぼちゃの昔の名前は「なんきん」です。やっぱり「ん」で終わっているんですね。
冬至に「ん」のつくものを食べて幸運を願う習慣、これからも続いていくといいなと思います。
さて「食べる」と言えば、小学校に勤めているときに朝会で子どもたちにこんな話をしたことがあります。ある昔話をアレンジしたものですが、子どもたちは興味深そうに聞いてくれました。
この前、夢を見ました。いつもは起きると忘れてしまうのですが、これはとってもおかしな夢だったせいか、目が覚めたあとも覚えていました。今回は、その夢のお話です。
わたしはなぜか、全然知らない女の人と一緒に、素敵な雰囲気のレストランに入っていきました。
あたたかな灯り、緑の植物、静かに流れる心地よい音楽、トントン・・・カタカタ・・・ジュワッ・・・かすかに聞こえる調理の音、ほのかに漂ってくる香り、二人向かい合わせにテーブルに着き、お互い黙ったまま料理を待ちました。しばらくすると、大きな皿に盛りつけられた料理が目の前に置かれました。色とりどりの野菜、香ばしく焼きあがった魚、やわらかそうな肉、とっても美味しそうです。
ところが、次に置かれたものを見て、びっくりです。それは、テーブルの向こう側にも届きそうなほど長いお箸でした。私は店員さんに尋ねました。「この箸で食べるのですか?」「はい、これでお召し上がりください。料理がいっそうおいしくなります。」店員さんはにっこり微笑んでそう答えると奥に行ってしまいました。
さて、困りました。まず、お皿の料理がお箸でつまめません。仕方がないので立ち上がってやっとつまんでも、それを口に入れることができません。わたしは、腹が立ってきてプンプンし始めました。
その時です。向かいに座っていた女の人がとても穏やかな声で話しかけてきました。「あなたは、まず何を食べたいですか?」
それから一時間後、わたしと女の人はレストランを出ました。
おいしい料理でおなかがいっぱいになって・・・。全然知らなかった女の人とも、とても仲良くなって・・・。二人とも、とても幸せな気持ちになって・・・。
朝会の話はここで終わって、続きを子どもたちに考えてもらいました。
さて、夢の中の私たちはどうやって料理を食べたのでしょう。そして、食べ終わった後、どうしてそんなに幸せな気持ちになったのでしょう。みなさんもお子さまと一緒に考えてみませんか?
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
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