対話主事通信「いろとりどり」2024年6月号
額縁の中に一枚の葉っぱ、約半分は葉っぱのままだけれど、もう半分は切り絵になっていて、可愛い生き物たちの四季折々の小さな暮らしの物語がほのぼのと描かれている…そんなアート展を2月の終わりごろ駿府博物館で見てきました。「リト@葉っぱ切り絵展」です。どこかなつかしく、生き物たちの生き生きとした表情や何気ない仕草までこちらに伝わってきて、ほっこりしました。
この素敵な作品を生み出すアーティストは、「リトさん」です。サンゴジュやアイビーなど身近にある木の葉の中を細かく切り取って絵を描きます。虫眼鏡で見なければわからないような丸や三角の切り取りもあります。とてつもなく繊細で根気のいる作業だということが、実物の葉っぱを見てよくわかりました。
どうやって作品を創り出していくのだろうと想像しているうちに、リトさんがどんな人なのか知りたくなりました。そこで、いろいろな記事からリトさんのこれまでの歩みをまとめてみました。何か子育てのヒントがありそうです。
≪子どものころ≫ 身体を動かすことより、家でゲームをしたり本や漫画を読んで過ごすことの好きなおとなしいタイプの少年だった。図工が好きでも絵が得意なわけでもなかった。
≪就職して≫ 大学では商学部に在籍し、卒業後は会社員として寿司チェーン店や和菓子店に就職。まじめに働いているつもりでもスピードが遅かったり、丁寧に作業をしすぎたりして怒られる日々。みんなにできることが自分にはできないと悩み、自分を責める日々だった。二度の転職を経て無職に…。
≪診断を受けて≫ 社会生活10年目に入ったころ、ネットで知った発達障害の特性が自分に当てはまることに気づいて受診。ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断された。これまでのうまくいかないもやもやの原因が自分の障害にあったことが分かり、肩の荷が下りたような解放感を得る。
≪転機≫ 生きて行くために新たな職を探すもののなかなか見つからない。「ADHDと人前で堂々と言える人になりたい。自分の特性である集中力やこだわりをプラスに活かしたい。でも、組織で働くことは自分には向いていない。」と、生き方を変える決意を固める。スキルアップを目指してエクセル講座を受講。受講中に何気なく書いた落書きを見ているうちに、ふとこれを紙に描いたら面白いかなと感じてアートの世界へ。「細かいことが好き」「好きなことにはものすごく集中する」という特性を活かして何ができるか考えながら、挑戦を始める。ボールペンアートや紙の切り絵作品をSNSで発信。しかし、趣味としてならいいが、これだけで生活していくのは難しいと実感。
≪出会い≫ 得意な切り絵を紙以外の素材でやれないかと思いつき、面白い素材を探しているうちに海外の葉っぱ切り絵を見つける。どうすれば多くの人に支持される作品になるか模索しながら、葉っぱ切り絵をSNSにアップし続ける。やがて、「葉っぱのアクアリウム」という作品で一気にフォロワー数が増え、「葉っぱ切り絵アーティスト リト」の名前と作品が世の中に広まる。見てくれる人が求めているものに寄り添った作品、見る人が幸せになる作品を創っていこうという思いがリトさんの作品を貫くものになった。
「自分に得意な武器が少ないなら、それを生かせるものを世の中で探すのではなく、自分で作った方が早い。組織の中で働くのは無理だと思った僕は、『できること』ではなく、『できないこと』を箇条書きで書き出した。そして、この『できないこと』の中に実は自分だけの強みが隠れているのではないかと毎日考えていた。」
「同じADHDでも一人ひとり特性は違う。まず自分が何者かを知ることが第一歩。もしお子さんが発達障害だと診断されたとしても、診断名で決めつけるのではなく、ここが苦手だけどここが得意だねと、親子で考えるといい。自分は何が得意で何ができるのか。それがわかるためにも子どもの頃は、いろんな経験をすることが大事。」
「どれだけ子どもの将来を心配しても、安心できる未来なんてない。先の心配などせず、子どものころにはいろいろなことを体験することが大事。そのなかで、何が得意で何ができるのかが見えてくるかもしれない。僕自身、学生時代にゲームに夢中になったことも無駄になっていないし、小さい頃に読んでもらった絵本の内容や、ディズニーランドに行って楽しかったことなどが今の作品の世界につながっている。子どもたちには時間がたっぷりあるのだから、慌てないで好きなことを楽しんでほしい。」
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
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