教育対話主事通信 2月号
《 さかさま節分集会 》 今回は子どもたち向けの「おはなし」です。
びっくりした。
ぼくは3学期からこの小学校に転校してきた5年生。1ヶ月たってやっと毎日の生活に慣れてきたところだけど、今日は、びっくりした。なんだ? この豆まきは!
1年から6年まで全員が集まって1時間目にやった「節分集会」。司会は、同じクラスのブンタとセッちゃんだった。
はじめから、変なことを言った。「今日は、いつもと違う『さかさま節分集会』です。」
さかさま節分集会? なんだ、それ? みんながざわざわしている中で、会が始まった。
「今日、豆をまいてくれるのは、この人たちでーす。」
出てきたのは、何と鬼だった。ええーっ、鬼は豆をぶつけられて逃げ回る役なんじゃないの? 小さい鬼から大きい鬼まで6人。
体操服の上にトラのパンツをはいて、頭には鬼のお面。
豆まきが始まった。ここが、一番びっくりした。なんと、「鬼は―内! 福は―外!」と言っているのだ!
ええ―っ、「鬼は外、福は内」なんじゃないの? わけがわからない。鬼たちは、ふわっとやさしく豆をほうっている。
逃げる鬼にぶつけるような投げ方は、1人もしていない。
低学年の小さい子たちも受け取れるくらい、やさしい投げ方だ。「鬼は―内! 福は―外!」 どの子も豆を受け取って、うれしそうだ。
豆まきが終わると、セッちゃんとブンタが交互に話し始めた。
セ「今日の集会は、担当の5年生のクラスの代表者で話し合って、いつもと違う『さかさま節分集会』にしてみました。どうでしたか? どうして『さかさま節分集会』にしたかというと…。」
ブ「ぼくは去年、クラスの節分集会で鬼の役をやりました。そのとき思ったんです。みんなに『鬼は―外』って言われて、豆をぶつけられて追い出されるのって、なんてつらいことなんだろうって…」
セ「わたしは、3年生のころから、豆まきのときに『鬼は外』っていうのがなんとなくイヤで、『福は内』だけ言ってました。どうしてかは、自分でもわからなかったけど。でも、みなさん、ちょっと想像してみてください。それぞれの家の中に福があっても、家の外が鬼だらけだったら…。なんか、すごくこわい世界だと思いませんか?」
ブ「だったら、さかさまにしたらどうだろうって、ぼくたちは考えました。ぼくは、鬼はいつでも自分の心の中にいるんだって思います。いじわるしたいとか、いたずらしたいとか、ひっくり返った自分の心が鬼なんだって。だから、鬼は、自分の心の中に閉じ込めて『鬼は内』。そして、福は、ひとりじめするんじゃなくて、みんなと少しずつ分け合えるように『福は外』。これがぼくたちが考えた『鬼は内、福は外』です。最後に、みんなでいっしょに言ってみましょう。意外と気持ちいいですよ。」
このあと、全員で言ってみた。「鬼は―内! 福は―外!」
転校してきて1ヶ月のぼくは、ブンタともセッちゃんとも、まだあんまり話をしていない。
今日は、ずいぶんびっくりさせられたけど、でも、ブンタもセッちゃんも、なんだかおもしろそうなヤツだ。ぴったり息の合ったコンビみたいだし…。
もっと話してみたいな。ぼくは、そう思った。
ところで、最後に声を出したとき、ちょっと不思議に感じたことがある。
いつもは、「鬼は―っ 外っ!」のあと、ちょっと小さめに「福は―内」だったけど、今日は違った。「鬼は―内」のあと、全力で「福は―っ 外っ!」と叫んでいた。なんでだ???
【追伸】 実際に「鬼は内」と言いながら豆まきをする地域があるようです。例えば、鳥取県のある地方では鬼が村を守ったとして祀られているそうです。鬼を神様として祀っている神社やお寺も各地にあります。そこでの豆まきは「鬼は内」になります。鬼が悪霊を追い払ってくれることで、幸福をもたらしてくれるという考えもあるそうです。「鬼は内、福も内(福は内)」と言う地域もあれば、このおはなしと同じように「鬼は内、福は外」と言う地域もあるとか。これは、「家に鬼を招き入れて福を外に出せば、周りの人により多くの福が訪れ、巡り巡って自分たちも幸せになれる」という考え方のようです。セッちゃんやブンタの考えとつながりますね。
いずれにしても、節分の豆まきには、一年の無病息災を願うという想いが込められているということに変わりありません。さあ、一年の健康を願って、節分の豆まきを!
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
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