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教育対話主事通信「いろとりどり」2024.8月号

2024.07.18

対話主事通信「いろとりどり」2024年8月号  

 

小林快次さんという方をご存じでしょうか? 世界から注目を集めている恐竜研究の第一人者です。

恐竜学者、北海道大学総合博物館教授。ラジオ番組「子ども科学電話相談」の恐竜分野の解説を担当したり、恐竜図鑑や映画「恐竜超伝説2」やテレビ番組の監修をしたり、講演会を開いたりと、幅広く活躍。

狩りの名手ハヤブサのように恐竜の化石を次々と見つけることから、海外の研究者たちから「ファルコンズ・アイ(ハヤブサの目)」というニックネームで呼ばれている。ゴビ砂漠やアラスカ、カナダなどで発掘調査を行いながら恐竜の生態などの研究を続けている。

最初の化石発見から半世紀の間、謎に包まれてきた恐竜デイノケイルスの全貌が2014年に解明されたが、その一翼を担った。日本においては、北海道勇払郡むかわ町で発見された恐竜の化石の全身骨格を掘り出すことに成功し、カムイサウルス・ジャポニクス(通称「むかわ竜」)と命名、日本を代表する恐竜となった。

               

以前から恐竜に興味があった私は、恐竜に関わるテレビ番組を見ていて小林教授のことを知りました。その小林教授の「恐竜が語るもの ~発掘・研究の現場から」と銘打った文化講座に、今年の3月末に参加することができました。

「偉大な恐竜学者に会って話を聴くことができる!」ワクワクしながら、当日、会場に足を運びました。すると、予想以上にたくさんの人が…。春休みだったこともあり、多くの親子連れがいました。小学生が大半でしたが、年長さんらしき子も。中学生、高校生、大学生らしき人も。その中に混じってシニア世代の人たちも。老若男女あらゆる人たちが集まっていました。恐竜は人々を魅了してやまない存在なんだと、改めて知る機会になりました。

発掘現場での作業の様子や最新の研究で解明された恐竜の事実など内容は多岐にわたりましたが、膨大な画像を交えながらの1時間30分はあっという間でした。子ども向け恐竜講座を開いていることもあって、話は大変わかりやすく、「恐竜が好き! 大好きだ!」という熱い思いが言葉の端々に現れていました。(ワニも大好きだそうです。)

 講座に参加して、心に強く残ったことが二つあります。

一つ目は子どもたちの様子。小林教授の話に興味津々、「それ、知ってる!」「それってデイノケイルスだよ。」など、会場のあちこちから度々声が上がりました。

質問タイムでは、臆することもなく「ハイ!」と元気よく手を上げ、「恐竜のオスとメスはどうやって見分けるのですか?」「先生は、これまでどのくらいの数の化石を発見したんですか?」「スピノサウルスは、これまで陸上で生活していたと言われていましたが、最近では水中を泳いでいたという説もあります。先生はどう考えますか?」などなど、質問の嵐でした。どの子も目をキラキラさせていて、恐竜への興味や熱い思いを感じることができました。子どもたちは、とにかく恐竜の名前をよく知っている。名前だけでなく、体つきなど身体的特徴や習性までよく知っている。恐竜図鑑や恐竜の本などをたくさん見ているんだろうな。尽きることのない知識欲や想像力、夢中になれるものを持っていることの強さなど、子どもの持つ無限の力を垣間見たような気がしました。

参加したあるシニア世代の方はこう言っていました。「子どもが興味を持つということは、その親も恐竜に興味があるということ。子どもが恐竜が好きだから親もいっしょについてきたというよりは、親自身が興味があって話を聴きたくて仕方がなかったのではないかな。」と。会場から出ていく親子をほほえましく見ながら、家に帰ってからも親子でああでもない、こうでもないと恐竜の話に花が咲くんだろうなと、勝手に想像を膨らませていました。

二つ目は、小林教授の最後のお話。こんなことを語ってくれました。

「この地球は、大量絶滅をこれまで5回経験してきました。鳥になった恐竜を除いて、恐竜が滅んだのはこの5回目に当たります。今から6600万年前のことです。そして今、地球はすでに6回目の大量絶滅の時期に突入しています。恐竜をはじめ、多くの生物が滅んだのは、地球に隕石が衝突したことによりますが、6回目は違います。6回目の大量絶滅の危機をもたらしている原因は、『人』です。『人』が地球を滅ぼしかねないのです。大量絶滅を止めることはできないかもしれませんが、時期を少しでも先に延ばすことは可能です。」

この地球に生きるすべてのもののために、今私たちにできることは何なのか、より多くの人が考え、できることから実践していくことが求められているんですね。

 

全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代

 

 

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