後半に入ったNHK連続テレビ小説「虎に翼」、あらためてこのドラマについて振り返ってみると…
主人公のモデルは、三淵嘉子(みぶちよしこ 1914~1984)さん。明治大学専門部女子部法科で学び、1938年に高等文官試験司法科に合格、
日本で初めての女性弁護士の一人になります。戦後、女性の門戸が閉ざされていた裁判官への任官を目指し、裁判官採用願を司法省に提出。
すぐには採用されず、司法省で民法の改正と家庭裁判所の設立にかかわります。1949年に裁判官となり、後に女性として初めての裁判所長を務めました。
タイトル「虎に翼」とは、中国の法家・韓非子の言葉で、「鬼に金棒」と同じく「強い上にもさらに強さが加わる」という意味。五黄の寅年生まれで
「トラママ」と呼ばれた三淵嘉子さんにちなみ、このドラマの主人公の名前は寅子(ともこ)、あだ名は「トラコ」。法律という翼を得た寅子が、時には
迷ったり悩んだりしながらも、弱い人々のためにと、自らの翼を使って羽ばたいていく姿が描かれています。
女性の社会進出が普通ではなかった時代に、強い気持ちをもってたくましく生きていくこうとする女性たちの姿が描かれているドラマですが、毎週つけられる
週タイトルが気になります。あまり耳にしたことのない短文で、最後に「?」が付きます。調べてみたら、これ、実はどれもれっきとした「ことわざ」でした。
いくつか抜粋して挙げてみます。
第1週「女賢くて牛売り損なう?」…女が利口な様子をしてでしゃばると、浅知恵をみすかされて物事をやりそこなう。
ハテ?これって女性に限ってのこと?性別なんて関係ないし、全く失礼ないいぐさ。
第3週「女は三界に家なし?」…女は幼い時は親、嫁に行ったら夫、老いては子に従う。身を落ち着ける場所はない。
ハテ?女性ってなんだと思われていたのだろう?個人としての尊厳なんてみじんもないって感じ。
第4週「屈み女に反り男?」…女は前かがみでうつむき加減の姿がよく、男は胸を張り反り加減の姿がよい。
ハテ?女性は控えめに、男性は威厳をもって?全くどういうこと。不適切にもほどがある。
第5週「朝雨に女の腕まくり?」…朝の雨はすぐに晴れるものだから、女の腕まくりと同様に少しもこわくない。
ハテ?女性がどんなに怒ってもこわくない?女性を見くびるにもほどがある。
第7週「女の心は猫の目?」…女心は、猫の目がコロコロ変わるように、気まぐれで変化しやすい。
ハテ?「女心と秋の空」っていうことわざもあるけれど、どうなんだろう?女性全てがそうというわけではないはず。
第9週「男は度胸、女は愛嬌?」…男は度胸があってこそ男、女は愛敬があってこそ女。
ハテ?ちょくちょく耳にする言葉だけれど、やっぱり変。女性も男性はこうあるべしと単純にまとめることではないよね。
第10週「女の知恵は鼻の先?」…女は目先のことにとらわれ、遠い先のことを見通す思慮に欠けている。
ハテ?男女の違いではなく、個人個人の人としての特性なのでは?これも失礼な言葉。
第12週「家に女房なきは火のない炉のごとし」…家に主婦がいないのは、炉に火がないのと同じで、寂しい。
ハテ?女性は大事な存在ともちあげているようで、主婦として常に家にいるのが当たり前だと断定している気もする。
第13週「女房は掃きだめから拾え?」…妻を迎えるなら自分より格下の家からもらうとよい。
ハテ?「掃きだめから拾え」とは何という言い草。失礼極まりない。妻って何?結婚って何?
女性に対してずいぶん失礼なことわざばかりですよね。「女性は〇〇だ」と決めつけたり、おもしろおかしくからかったり、女性だから能力が
劣っていると見下したり。「虎に翼」の週タイトルが全部こんなことわざで埋められてしまうなんて、はあぁ…ですよね。わずか数十年前までの
長い間、日本社会で女性がどんな位置や立場に置かれていたか容易に想像できます。脚本の吉田恵里香さんはあえてこういう女性差別的な意味が
含まれたことわざを並べたのでしょう。そして、そのことわざの後に必ず「?」をつけました。ここに大きな意図があるのだと思います。
いろいろな理不尽にぶつかるたびに、このままでいいのか、こういう社会で果たしていいのか、「ハテ?」と考え、自分なりの答えを探して全力で
ぶつかっていく「寅子」の姿が、この「?」ににじみ出ているように感じます。残り少なくなった「虎に翼」ですが、この週タイトルに注目して
寅子の奮闘ぶりを見るのもいいかもしれませんね。
ひと昔前までずいぶんな時代だったな、今の時代に生まれてよかったなと思うことがありますが、ここまで来るには、さまざまな人々の努力と
奮闘があったことを忘れてはならないと思います。
そして、今は何も問題のない社会だから安心ではなく、「寅子」のように常に「ハテ?」と立ち止まって考えることを忘れてはならないと思います。
気がついていないだけで、あるいはスンッとして見逃しているだけで、未来から見たら今も「不適切にもほどがある」時代なのかもしれません。
すべての人が安心して幸せに生きていける社会を、一人ひとりが周りの人と手を取り合って築いていけたら素敵なことだと思います。
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
拝啓、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。
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