5歳になった孫が寿司を食べるようになったと娘から聞いたので、我が家に来たとき、さっそく夕食を手巻き寿司にしました。
「玉子、サーモン、エビ、最近はマグロも好きになった」という話だったので、孫に「マグロも食べる?」と聞いたところ、
返ってきた言葉は「大丈夫」。よしよし、マグロも準備しなきゃ…と張り切りましたが、ん? 孫の表情を見てなんとなく違和感。
「マグロほしいんだよね?」と再確認すると「いらない」。びっくりポンでした。さっきの孫の「大丈夫」を私は「食べられる」
と理解したのに対し、孫は「いらない」という意味で言っていたのです。
ある日、スーパーマーケットのレジで耳に入ってきた店員と客の会話。
「お買い上げの品物は以上で大丈夫でしょうか?」「大丈夫です」
「レジ袋は大丈夫でしょうか?」「大丈夫です」
「お箸とおしぼりは大丈夫でしょうか」「大丈夫です」
「お支払いは現金で大丈夫でしょうか?」「大丈夫です」
…「OK」やら「No, thank you.」やらが入り混じった「大丈夫」のオンパレード。私の頭は大混乱です。
ウチにあった国語辞典(大修館書店 明鏡国語辞典 2003)で「大丈夫」を調べてみたら、こう書かれていました。
そうそう、これが私の頭の中にある「大丈夫」です。でも孫やその親世代が最近使っている「大丈夫」は、もっとバラエティーに富んでいるようです。
ではどんな意味で使われているのかと調べていたら、外国人向けのあるガイドブックに「なるほど」と思う解説があったので、表にまとめてみました。
意味 |
用例 |
① 強くてしっかりしている・あぶなげなく安心できるさま |
・(建物の耐久性を心配している友人に)「この建物は造りがしっかりしているから、大きな地震が来ても大丈夫だよ」 ・(頼りになるガイドさんを見て)「あの人に任せておけば大丈夫だね」 |
② 間違いがなく確かなさま |
・(美術館の閉館まで十分な時間があるか受付で確認したい時)「まだ時間は大丈夫ですか?」 ・(うまくできずにがっかりしている友だちに対して)「きっと次は大丈夫、うまくできるよ」 |
③ 必要・不要の意を確認する |
・(重そうな荷物を持つ年配者を見かけて)「大丈夫ですか? 持ちましょうか?」 ・(切符の買い方がわからず困っている人に)「大丈夫ですか? お手伝いしましょうか?」 ・レストランで提供されたお水を半分飲んだ時に店員がそれを見て)「お水のおかわり、大丈夫ですか?」 ・(コンビニエンスストアでお弁当を買った時に店員が)「お箸は大丈夫ですか?」 ☆これらの問いかけに「大丈夫です」と答えると、「不要です。ありがとう.」の意味になる。 |
④ 問題がない |
・(待ち合わせに遅れた友達が「遅れてごめん」と謝ったのに対して)「全然大丈夫」 ・(楽しみにしている旅行前日、天気予報で曇りのち雨と知って)「明日の天気、大丈夫かな?」 ・(賞味期限がきれた和菓子を見て)「これ食べても大丈夫かな?」 |
⑤ 可・不可の意を確認 |
・(建物に靴のまま上がっていいかわからない時)「靴を脱がずに上がっても大丈夫ですか?」 ・(温泉施設で水着を着て入りたい時)「水着を着て温泉に入っても大丈夫ですか?」 |
⑥ やんわりと断る |
・(同僚が「金曜日の懇親会どうする?」と聞いてきたので)「あ、僕は大丈夫です」と断った。 ・(友達が勧めてくれた和菓子が苦手だった時)「ありがとう、大丈夫です」 |
はっきりと拒否の意思表示をするのが苦手な日本人にとって、やんわり断る感じで使える「大丈夫」はとても便利な言葉なのかもしれません。
孫と買い物に行ったスーパーで試食用のウナギを勧められた時、私は「ありがとうございます」と言っておいしくいただきましたが、
一緒にいた孫はにこっとして「ぼくは大丈夫です」と答えて食べませんでした。
「大丈夫」がどんな意味で使われているのか、慎重に見極めないといけない時代になったなあ…と感じています。
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
小
#勉強会
#お知らせ
2024.12.05
小
磐田・湖西・掛川の公立小学校に対応しています。 『学校図書』
#勉強会
#お知らせ
2024.12.05
小
#勉強会
#お知らせ
2024.12.05