対話主事通信「いろとりどり」2021.6月号
いつものように佐鳴湖公園を散歩していたある日、道端で遊んでいるお母さんと4歳くらいの男の子に出会いました。男の子は「おいちい、おいちい」とジュースを飲んでいて、その言い方が可愛らしかったので私から「おいしい?」と声をかけました。男の子は笑顔でうなずいてくれました。お母さんが男の子に「こんにちは…は?」と促しました。すると男の子は「こんにちは」と挨拶し、そのあと空をぐるりと見渡しはじめました。何をしているのかしらと不思議に思っていると、空から私に目を転じてこう言いました。
「きょうはいい天気でしゅね。」
驚きました。ごく自然に「今日はいい天気ですね」とひとこと付け足したのです、この小さな子が。この子の「こんにちは」がとても心のこもったものに感じられました。
余談ですが、「今日は」が「こんにちは」のもとだから「こんにちわ」という表記ではない…という話もこの時思い出しました。
以前勤めていた小学校で、ある雨の朝こんな光景を見かけました。
登校してきた女の子が昇降口の軒先で立ち止まると、すぐには中に入らずすっと後ろ向きになりました。そして差してきた傘を外に向けてたたみ、軽くまわして傘に付いたしずくを振り落としました。
女の子の後ろにはひとりの男の子がいました。女の子の横を通り過ぎようとしましたが、女の子が何をしているのかハッと気づいたようで立ち止まりました。そして、女の子のまねをしてぎこちない手つきで傘のしずくを振り落とし始めました。
昇降口の中に水気を持ち込まないようにという心遣いが意識せずにできる女の子も素敵でしたが、素敵な仕草を見過ごさず、まねした男の子も素敵でした。
ある日の休み時間にはこんなことがありました。校舎内を歩いていたら、廊下にごみが落ちているのが目に入りました。ストローの袋がひとつと小さな紙切れが1枚。後で職員室のゴミ箱に捨てようと思い、かがんでそれを拾いました。その時です。ごみをつかんだ私の手の横に、後ろからすっと小さなてのひらが差し出されました。はっとして見ると、ひとりの3年生の男の子が手を差し出しているのです。
「そうか、私が今拾ったごみを受け取ってくれようとしているんだ。」
ピンときた私が
「ありがとう。いいの?」
と聞くと、黙ってうなずいてくれました。ごく自然にしてくれたそのことが何だかうれしくて、私は拾ったごみの片づけをその子にお願いすることにしました。
佐鳴湖公園の遊歩道には、道幅のとてもせまいところがあります。2人すれちがうのがやっとくらいのところで7メートルくらいの長さです。ふだんは互いに身を端に寄せながらすれ違います。相手が自転車だったり、小さな子ども連れだったりすると、手前で通り過ぎるまで待ちます。みんなごく自然にそうしています。相手のことを思う気持ちは、ほんのちょっとした言葉やしぐさにあらわれるものなんですね。
そう言えば、雨の降る日に誰かとすれ違うとき、傘をちょっとだけ横に傾けて相手に雨のしずくがかからないように気を配ることを表す「傘かしげ」という言葉もあるそうです。
全家研ポピー浜松支部 教育対話主事 鈴木育代
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